アメリカ人(現代版で)の中で、僕が有識者と尊敬しているのはヘンリー・キッシンジャーとズビグネフ・ブレジンスキーです。二人とも混迷な1970年代に大統領補佐官として英明な判断を下し、今日までの確固たるアメリカの地位を築いた人物です。御多聞にもれず、ヨーロッパ大陸からナチスドイツの圧政に抗してアメリカに渡った方々。余談ですが、戦中、戦後にわたってアメリカが世界を席巻できたのは「タナボタ」だったと僕は思っています。殆ど、ナチスから追われた突出した才能をもった天才たちが、同時期にアメリカに集結していたからだけです。今はもうダメですけれどね。
さて、ズビグネフ・ブレジンスキーは1971年に日本に半年滞在し、翌年に「ひよわな花、日本」を著しています。60歳以上の方なら記憶にあるかもしれませんが、高度成長期でイケイケ日本だった頃なのに、日本は個人としても共同体としても「独立した独自の行動」がとれない文化を有しているので、世界に揉まれれば「ひよわ」になると断じています。
50年後の現在、彼の指摘はドンピシャで、日本は当分ダメです。日本語で言う「勇気」と英語のブレイブは宗教的背景が異なるので、異議なる言葉といっても差し支えありませんが、日本から絶滅したのは、例えば高杉晋作みたいな「勇気」です。吉田松陰門下生ではあったけれど、彼には日本には類をみない無茶苦茶な勇気がありました。
70年代からバブル期に至る日本の発展の原因は「民間」の活力でした。伝統的に日本は国家の運営とかはムリ。場当たり的な政治形態をいくら繰り返しても、なんにも学習しません。なんせ、天岩戸に隠れたアマテラスを引き出すために、周りでワザと踊りをさせてソレを見させた鏡が「三種の神器」のひとつでっせ。テンション、下がるわ。比べちゃアカンけどアーサー王は、王の証しとして誰も引き上げられない剣→→→エクスカリバーをカッチョ良く引き抜いてイングランドの王たる証しを示した…….に比べたら「ひよわ」と言われて然り。
今や民間はリストラにびくびくし、役人は役人根性を謳歌している我が日本。コロコロコミックスをバッサリちぎる勇気ある若人は、あと100年か。